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Author:石川 隆

1967年生まれ。国家2級ガソリン整備士。現在、イシカワエンジニアリングを経営中。

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TITLE:【特別編】2.0TFSI ユーザーの皆さん要注意です - その3
091029Ishi001.jpg 前回は純正リサーキュレーションバルブの新旧の違いを検証しました。最終回は純正以外のリサーキュレーションバルブによって、純正の性能を上回るのか?デメリットを克服できるのか?という点を考えてみます。

091029Ishi002.jpgここでは「Forge Motorsport製」のリサーキュレーションバルブで検証します。このバルブは純正と異なり通電により開放する構造ではなく、内部のピストンがインテーク負圧により吸引されて作動する構造になっています。構造は至ってシンプルで、内部には開閉ピストンとスプリングだけです。上部に装着されるキャップが圧力室になる仕組みです。

091029Ishi003.jpg上下2つの突起はバキュームホースが接続されるようになっています。下側はターボユニットより過給された空気が取り出されるポート。上側のポートは過給圧またはインテークマニホールド負圧がかかるポートです。

091029Ishi004.jpg過給圧の保持とブローオフの循環のシステムは、中心の突出した部分がターボユニットの循環ポートに完全に密着することで、中心の突起内部のみに圧力がかかる構造になっています。その内部はピストンによって循環を防ぎ、アクセルオフ時はバルブ上部にインテークマニホールド負圧を発生させることでピストンを引き上げます。その作動により過給圧は中心のポートから外側に数多く開けられた穴へと通りぬけてターボユニット吸入側へと循環します。純正と構造は異なっても果たす役割は全く同じということが分かります。

091029Ishi005.jpgでは、純正リサーキュレーションバルブのデメリットを克服することが出来るかどうかですが、答えはYESです。純正のデメリットは耐久性の問題と過給圧保持の問題でした。耐久性については、構造が純正と比べて非常にシンプルで内部部品の破損や経年変化、磨耗が起き難い構造です。また、過給圧の保持については、別にソレノイドバルブを配置して内部ピストンを作動させることで解決しています。

091029Ishi006.jpgソレノイドバルブの作動は純正リサーキュレーションバルブの電気信号を使用し正圧と負圧の圧力を切り替えてピストン上部にそれぞれの圧力を作用させます。過給時(アクセルオン)はターボユニットから過給された圧力をピストン上部に作用させることで密閉性を高め、ブローオフ(アクセルオフ)状態ではピストン上部にインテークマニホールド負圧を作用させてピストンを引き上げて循環させます。

091029Ishi007.jpg2.0TFSIユニットにおいて、リサーキュレーションバルブに求められる要件は過給圧の保持とブローオフという2つの動作です。これを確実に行って高い耐久性が実現できれば理想的なリサーキュレーションバルブといえます。そして、付け加えるとすればシンプルで加工を要さないこと。そう考えると、社外品であっても今回ここで紹介したForge Motorsport製リサーキュレーションバルブは理にかなった構造です。

091029Ishi008.jpgリサーキュレーションバルブは2.0TFSI本来の性能を発揮するためには不可欠なパーツです。発売より既に5年を経過しようとしている昨今、ウィークポイントを克服して2.0TFSIユニットの潜在能力をフルに発揮させてみてはいかがでしょうか。

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