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TITLE:【試乗記】ポロ1.2TSI じっくり乗ってわかったこと
100603-Polo-01.jpg箱根の試乗会でまずまずの印象を得たポロ1.2TSIを、あらためて借り出し、ドライブする機会を得た。

そこで見えてきたものとは...

箱根の試乗会で1時間ばかりポロTSIハイラインをドライブしたが、それだけではさすがに乗り足りないし、街中や高速も試してみたい...というわけで、広報車を借り出すことにした。スケジュールが空いていたのは、サバンナイエローのポロTSIハイライン。オドメーターの数字は3700kmを超え、エンジンもようやく硬さがとれてきたころだろうか。

運転席に陣取り、あらためてコクピットを見渡すと、レザーステアリングホイール&シフトレバーやオートエアコン、光沢のあるセンタークラスターパネル、フロントアームレストなど、コンフォートラインに比べ装備が充実していることがわかる。常に手が触れるステアリングホイールが革巻きなのはとにかくうれしい。

さっそくエンジンを始動。アイドリング時のエンジンノイズは目立たない。シフトレバーをDレンジに入れ、ブレーキペダルから足を離すと、ポロはゆっくりスタートした。クリープはあるが、トルクコンバーター式ATに比べると動きは穏やか。同じDSGを積む1.4Lよりも弱く、この瞬間、排気量の小ささを実感した。

動き出したのを見計らい、まずはじわっとアクセルペダルを踏んでいく。パワートレインが発生するノイズと振動が少し気になる。このあたり、ゴルフTSIトレンドラインではきっちりと抑えられていて、ポロとゴルフのクラスの差を思い知らされた。

自然吸気1.4L+7DSGでは心許なかった極低回転域のトルクだが、この1.2TSIでは確実に改善されている。ターボだからといって下がスカスカということもない。このエンジン、カタログによれば1550rpmから4100rpmで最大トルクを170Nmを発揮するというが、1550rpm以下でも十分に実用的。たとえば、60km/hで一般道を流すような場合には、7速で1200rpm程度の回転を保つ。これは燃費向上にも大きく寄与しているはずだ。

緩い加速が必要な場合に軽くアクセルを踏み増すと、ギアをキープしたままゆっくりとスピードを上げていくポロ1.2TSI。ただ、もう少し素早く加速しようというときでも、アクセルペダルの踏み方によってはギアをキープしてしまい、多少イライラするという場面もあった。燃費を優先したシフトプログラムがそうしているのだろう。そこで、さらにアクセルペダルを踏み込むと、今度は2〜3速ダウンシフトが起こってエンジン回転がグンと上昇。予想以上の加速に見舞われる。そのため、「低速で扱いにくい」「ぎくしゃくする」と思う人もいるようだが、これは1.2および1.4TSI+DSG全般にいえる話で、まあ弱点といえば弱点だが、案外アクセル操作にメリハリを持たせることや、あるいはマニュアルシフトで解決できるから、乗り慣れれば苦になることではない。

回転を上げていくと2000rpmを超えたあたりからトルクが盛り上がりはじめ、2500rpmを超えると本格的に力強さを増していく。このあたりになると、低回転域で感じられたレスポンスの不満は姿を消し、1.2Lとは思えない実力を見せつけてくれる。高速の加速や山道の登りでも十分な速さだ。前回の箱根試乗ではそれほどでもなかったが、今回はゴルフTSIトレンドラインに比べても明らかに軽い加速が印象的だった。さすがに5000rpmを超えると加速は鈍ってくるが、それでも1100kgのボディを引っ張るには十分すぎる実力だろう。

100603-Polo-02.jpg100603-Polo-03.jpg

ところで、写真はRevというアプリケーションにより、iPhoneにブースト圧を表示させたときの画面。この1.2TSIエンジンの特徴として、電子制御ウェイストゲートの採用が挙げられるが、1.4TSIシングルチャージャーに比べると、明らかにブースト圧が素早く上がるのが確認できた。しかも、軽く踏んだだけでもブースト圧は上がっているのだ。左は全開の場合で最大過給圧のプラス0.9バール(絶対過給圧1.9バール)に達しているところ。また、右はアクセルペダルを3〜4割踏み込んだときのものだ。以前、同じ1.2TSIを積むゴルフTSIトレンドラインを試乗したときに、1.4TSIシングルチャージャーよりも活発に思えたのは、この素早いターボのレスポンスのおかげに違いない。

注目の燃費だが、ストップ&ゴーが続く都内でエアコンONの状態でも11〜12km/Lを維持し、高速をおとなしく走れば軽く20km/Lを超える実力だ。こうなると、性能で自然吸気1.4Lに勝ち目はない。

というわけで、1.2TSIを積むことで、さらに魅力がアップしたポロなのだが、エンジン以外の部分ではいまだに不満も残っている。一番に挙げられるのがその乗り味で、一般道を走るような場面ではやや落ち着きが足りず、かつてポロが誇っていた重厚さが薄れてしまった。また、路面によってはショックを拾うこともあり、とくにそれは後席で目立つ。高速では、サイズを考えれば落ち着いているといえるのだが、ワンランク上のフラットさがほしいところだ。

電動"油圧"パワステのフィールが乏しいのも残念。ゴルフ同様、電動パワステを搭載してほしい。

まあ、そこまで高いレベルの走りを望む人には、ゴルフTSIトレンドラインをオススメするが、一方、このコンパクトさや活発さに大きな魅力を感じる人なら、ポロを選んだところで後悔はしないだろう。

ちなみに、僕がポロを買うとしたら、ほぼ同じ走りで29万円安いコンフォートラインを迷わず選ぶ。レザーステアリングホイールが付かないのはガマンできないので、これだけパーツをオーダー。それでも十分お釣りがくるのだから!

(Text by S.Ubukata)
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